住宅ローンを借り入れる際に、変動型金利と固定型金利のどちらが良いか悩む方は多いです。
しかし、どちらが優れているという決まりはありません。適切な金利タイプを選ぶためには、現在の収入や貯蓄、将来にかかる費用などを考慮して自身に合った選択をすることが重要です。
以下では、変動金利と全期間固定金利それぞれのメリットとデメリットについて説明しますので、参考にしてください。
固定型金利とは
住宅ローンの返済方法は、固定型と変動型に分けられます。
固定金利は、借入時からあらかじめ決められた期間中、金利が一定になるローンの形態です。固定金利には「固定金利期間選択型」と「全期間固定金利型」の2つのタイプがあります。固定金利期間中は、金利水準がどれだけ上昇しても金利は変更されず、返済額も変わりません。
固定金利期間選択型では、契約時に3年、5年、10年などの固定金利期間を選択します。たとえば、当初固定金利を10年に設定し、毎月の返済額が10万円だった場合、10年間は金利が固定されているため返済額は変わりません。固定金利期間が終了した後は、次の金利タイプを選択することができます。また、引き続き固定金利を選択することも可能です。
固定型金利のメリット・デメリット
本項では、固定型金利のメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット
固定型金利の利点は以下の通りです。
・金利上昇のリスク回避
固定型金利では、融資決定時の金利が最終返済まで変わらないため、金利上昇のリスクがありません。変動金利では市場金利の上昇に伴って金利が上がる可能性がありますが、固定金利なら安定した金利で返済が可能です。金利が低い時に固定金利を選ぶことで、返済負担を軽減できるでしょう。
・返済計画の立てやすさ
変動金利では金利の予測が難しく、将来の返済額を見通すのが難しいことがあります。しかし、固定金利なら最終返済までの返済額が確定しているため、長期にわたる返済計画を立てやすくなります。将来的に子供の教育費やその他の支出が増える可能性があっても、毎月の返済額が分かっているため、ライフプランを立てやすいでしょう。
以上が固定金利の利点です。固定金利を選択することで、金利上昇のリスクを回避し、安定した返済計画を立てることができます。ただし、個々の状況や将来の金利動向を考慮し、最適な金利タイプを選択することが重要です。
デメリット
固定型金利のデメリットは以下の通りです。
・金利が高い
一般的に、金利は固定金利>変動金利の順で高くなる傾向があります。
全期間固定金利は、金利上昇リスクがない代わりに最も高い金利が設定されています。
時には変動金利よりも1%以上高くなることもあり、返済負担が大きくなる可能性があります。そのため、変動金利と固定金利の両方をシミュレーションし、慎重に検討する必要があります。
・市場金利が下がっても返済額が変わらない
変動金利では金利が下がれば返済額が大幅に減少する可能性がありますが、固定金利では一度融資を受けた後に市場金利の下落の恩恵を受けることができません。
金利決定時の金利をどれだけ下げられるかが重要です。
ただし、一部の金融機関では、特定の条件を満たすことで金利を引き下げる制度があります。たとえば、フラット35では長期優良住宅の場合に0.5%の金利引き下げ制度があるなど、金利を下げる可能性がある場合もあります。
金利の高さや市場変動への対応については、個々の状況や将来の金利見通しを考慮し、返済能力やリスクを考えた上で慎重に判断する必要があります。
固定型金利がおすすめな人
固定型金利は以下のような人におすすめです。
・金利上昇リスクを避けたい人
将来の金利上昇に対するリスクを回避したい場合、固定型金利が適しています。
金利が固定されるため、市場金利の変動に左右されず安定した返済計画を立てることができます。
・安定した返済計画を立てたい人
固定金利は融資契約時に金利が決まり、返済期間中は変動しません。
このため、将来の返済金額を事前に予測しやすく、安定した返済計画を立てることができます。
・収入に対する借入比率が高い人
借入額が年収の6〜7倍程度と高い場合、金利上昇による返済負担の増加リスクが大きくなります。固型定金利を選ぶことで、将来の金利上昇による返済負担の増加を避けることができます。
・教育費が大きくかかる場合
今後、教育費が大きくかかる場合、固定金利の利用期間選択型がおすすめです。教育費は通常、予想以上の負担が生じることが多いです。受験前の塾代が予定していた額を超えてしまったため、あらかじめ用意していた大学の入学金が塾代に充てられることも珍しくありません。
将来数年後に教育費がかかる予定があるため、固定金利利用期間選択型が適しています。当初から10年間の固定金利を選択すれば、大学進学期間中は金利が固定されているため、金利上昇の不安を抱くことなく収支計画を立てることができます。
変動型金利とは
一方で変動型の場合、変動金利は、返済途中で定期的に金利が見直されるローンのタイプです。一般的に、金利タイプの中では最も低い金利が設定されています。金利は通常、半年ごとに見直されます。
金利が下がれば返済額が減少し、金利が上がれば返済額が増加します。ただし、半年ごとの金利の見直しによって返済額が変更されるわけではありません。通常、返済額の変更は5年ごとに行われます。5年ごとの更新であれば、返済額の増加に対する準備期間が与えられます。
また、金利の見直し後の返済額は、前回の金額から最大で125%までしか増加しません。
例えば、毎月の返済額が10万円だった場合、金利が上昇しても5年後の返済額の上限は125%の12万5,000円になります。ただし、実際に返済額が130%増加していた場合でも、残りの5%は免除されるわけではありません。その差額は次回の更新時に繰り越されることになります。
変動型金利のメリット・デメリット
本項では、変動型金利のメリット・デメリットについて解説していきます。
メリット
変動型金利の利点は以下の通りです。
・他の金利タイプよりも金利が安い
変動型金利の主な利点は、他の金利タイプと比較して金利が低いことです。もし金利が下落したり横ばいの傾向を示す場合、結果として返済総額が減少する可能性があります。
さらに、変動金利では支払額の急激な変動を和らげるための措置が設けられており、金利の上昇があっても毎月の返済額が直ちに上昇するわけではありません。
変動金利の返済額は、契約時から5年ごとに見直され、上昇幅も1.25倍以内に制限されています(ただし、この制度を採用していない金融機関も存在します)。
・金利が下がれば返済額も下がる
変動金利の特徴は、金利が見直される際に金利が下がると返済額も下がる可能性があることです。
元々変動金利は低い金利が設定されているため、金利が横ばいまたは下降すると、利息の支払いを大幅に削減できるという利点があります。
デメリット
変動型金利の利点は以下の通りです。
・金利上昇のリスクがある
金利の変動によって返済総額が変動し、返済額や返済期間が初めの計画と乖離する可能性があることです。
激変緩和措置により毎月の返済額は変わりませんが、返済額の内訳において利息の割合が増加し、元本の返済が進まなくなるという問題があります。また、返済額の上昇幅も25%に制限されているため、金利の上昇によっては元本の部分が完全になくなってしまう可能性もあります。
さらに、金利が持続的に上昇すると、利息分すら賄えなくなり、「未払利息」が発生し、住宅ローンの残高が徐々に増加するリスクがあります。住宅ローンの残債が残ったまま返済期間の終了を迎える場合は、残債を一括で返済する必要があるため、注意が必要です。
・返済計画の立てにくさがある
将来の金利上昇のタイミングを予測することは非常に難しいです。特に、住宅ローンの場合は30年以上の長期間にわたる返済が一般的であり、将来の金利動向を正確に予測することは困難です。
変動金利では返済期間中に返済額が変動してしまうため、長期にわたる返済計画を立てることが難しいというデメリットがあります。したがって、変動金利を選択する際には慎重に検討し、将来の返済に対するリスクを考慮する必要があります。
変動型金利がおすすめな人
変動型金利は以下のような人におすすめです。
・返済期間が短い人
返済期間が短い場合、金利の変動によるリスクが限られます。
返済期間が短いため、金利上昇による支払い負担の増加リスクが低いです。
・収入に対する借入比率が低い人
年収の4~5倍程度の借入額である場合、返済能力が高いと考えられます。そのため、金利が上昇しても返済に困る可能性が低いでしょう。
・貯金や運用ができる人
固定金利との金利差分を貯金や運用に回すことができる人にとって、変動金利は魅力的です。例えば、固定金利の返済額が月々10万円であるとすると、変動金利では月々8万円の返済となるかもしれません。
この差額の2万円を貯金や投資に回すことで、金利上昇に備えた対策を取ることができます。
・夫婦共働きで余裕資金がある場合
夫婦が共働きで余裕資金がある場合は、変動金利がおすすめです。
変動金利は金利の変化に対応できる特徴があります。余裕資金がある場合、金利が上昇しても返済額が変わる前に繰上げ返済を行うことができます。
これにより、借入額を減らし、金利の上昇にも対応することができます。
また、借入額が少ない家庭であれば、金利の上昇が与える影響は比較的少ないと考えられます。
ただし、変動金利には金利上昇のリスクが存在するため、そのリスクに対応できる人に向いています。返済計画に余裕があり、金利上昇による返済負担に対応できる人であれば、変動金利を選択することが適していると言えます。
まとめ
金利の種類ごとにメリットとデメリットを確認しました。
ローン契約をする際には、金利のシミュレーションが欠かせません。選択する金利タイプによって、総返済額が異なるため、申し込みの段階から専門家と相談し、できるだけ負担の少ない返済プランを考えておくことが重要です。
それぞれの会社や担当者によって、知識量や対応力も異なります。ファイナンシャルプランナーがいる会社も多く存在しています。自分で勉強する時間がない方はその様な会社を探す事も一案かと思います。
管理人の私は長期固定の住宅ローンを組んでおります。現在、金利について色々騒がしくなっておりますが、ひとまず安心ではあります。
ぜひ本記事を参考にしてみてくださいね!